水素やリサイクル可能なエネルギーが注目され実用化に向かう。
このような未来が、起こりうる可能性が高いと思う。
そして、地球温暖化問題の解決の道筋をつけると期待された京都議定書も、多くの問題をはらむ。
議定書は温室効果ガスの削減義務を数値目標によって先進国に課した。
しかし、その負担は各国間で衡平性を欠く。
また、温暖化防止の効果はあまりない。
さらに、米国と発展途上国が議定書の国際体制に参加していない。
不衡平さから対立が生じているために、この体制は壊れやすい危うさをはらむ。
日本と京都議定書の関係でも問題が多い。
受け入れの過程で、議定書による削減義務の妥当性、またそれによってもたらされる負担を真剣に検討しなかった。
国民は負担の実情をよく知らず、選択の機会もなかった。
化石燃料を使い続ける以上、温暖化問題を即座に解決することは不可能で、長い取り組削減数値目標という発想、転換をまず、数値目標による削減義務を各国ごとに課す制度はやめるべきだ。
これを強調し続ければ、豊かさを求めようとする発展途上国は制約に参加せず、従って、米国も参加しない。
また、温室効果ガスの排出源は無限にあるため、国が数値目標に基づいて完全にガスの排出を管理することは不可能に近い。
そして、日本のように不衡平な目標を与えられた国は、京都議定書体制に否定的な姿勢を示すだろう。
もちろん、数値目標には、分かりやすさ、インパクトの大きさという長所はある。
数値目標が出たことで、日本では国全体が目標達成のために努力を始めた効果があった。
だが、長所と短所を比較すれば、現時点では短所のほうが明らかに大きい。
みが必要だ。
しかし、京都議定書の作る国際体制は、永続する可能性は低い。
このような現実を眺めれば、この体制を現時点で見直す必要がある。
だがこれを完全に作り変えることは難しい。
議定書の取り決め上、加盟国の四分の三が採択しなければ、議定書の改正は行えない(第三条三項)。
ただ、二○一三年からの第二約束期間での新たな枠組みの議論が始まろうとしている。
この「ポスト京都」に合わせて、新たな動きを探ることは可能だ。
仮に数値目標が存在するにしても、国家の努力目標として定めるべきで、拘束性を強めて各国に課すべきではない。
遵守手続きも現在検討されているような、強制的で罰則の要素を含むものではなく、履行を促す形に改めるべきだ。
一九八○年代に整備が進んだ欧州の酸性雨条約(長距離越境大気汚染条約)とその議定書では、目標値を決めて削減を行う京都議定書と同じ枠組みができた。
大半の国が酸性雨の原因であった硫黄酸化物の削減に成功したが、ノルウェーなどは遵守ができなかった。
しかし、その国際体制は壊れず、不遵守国も制裁を受けなかった。
一方、この数値目標は酸性雨問題に、欧州の政治的・社会的注目を集め、各国の政策の実施を促進する効果があった。
欧州全体で硫黄酸化物は減り、条約の根本的な目的は達成された(注一)。
この先例は京都議定害の国際体制にも示唆を与える。
京都議定書の目的は、CO2など温室効果ガスの総量を大気中で安定化させることだ。
コストを度外視して削減を進め、各国の経済を壊すことは想定していない。
履行措置を緩やかにしても、目的が達成されればその国際条約は役割を果たしたといえる。
京都議定書の数値目標も、各国の政策のターゲットとしての役割に限定するべきだ。
仮に履行できなかったとしても、その国に制裁を加えるべきではない。
オゾン層破壊物質であるフロンガスの排出を規制したモントリオール議定書(九○年)では、不遵守国が部分ごとの合意の積誤重ねをしかし、京都議定書で国ごとの数値目標が打ち出された以上、今後の取り決めでも、何らかの目標を示さなければ、国際世論が新体制を許容しないだろう。
そして、温暖化の進行する危険な状況を考えれば、「無条約」の状態は認めるべきではない。
では、制約の枠組みはどのような形がよいか。
「できることを積み重ねる」形で、国際的な枠組みを作ることが適切であると、私は考える。
例えば、日本の「トップランナー方式」のような民生用機械のエネルギー使用量の共通の世界基準を作り、それを履行する。
鉄鋼などの貿易財の生産過程で、CO2の排出基準を各国が統一し、それを実施する。
森林生じても、履行監視委員会は「遵守計画の提出」と「履行確保の勧告」を行うだけだ。
京都議定書も同様の形に変えるべきであろう。
京都議定書が発効すれば、第一回京都議定書締約国会議が開かれ、京都会議以降の国際的取り決め、特にマラケシュ合意などが正式に承認される見通しだ。
ここでの討議で、遵守手続きの討議をし直すことを期待したい。
だからといって、国内の温室効果ガスの削減措置を怠ってよいわけではない。
日本は与えられた目標に向けて、可能な措置を着実に行わなければならない。
のCO2吸収、交通規制、車の排気ガスなどでこのような「部分ごとの連合体」を作ることは可能だろう。
現在は海底や地下にCO2を貯蔵する技術が各国で関心を集めている。
こうしたCO2削減技術の研究では、各国が共同して行うほうがコスト面で合理的だ。
気候変動枠組み条約や京都議定書の成立過程では、日本の代表団が提案した「誓約と審査(型の烏の働己罰菖の言)」という交渉原則がよく語られた。
「できること」の集積にすれば、結果の審査は容易だし、各国が義務受け入れのための制約もしやすくなる。
現在のCOPの交渉方式では約一五○カ国の代表が集まり、数千人のNGOが監視するため、決まることが遅い。
交渉に割かれるエネルギーの損失は大きくなる。
「必要ごとの連合体」の方式では、部門ごとに、専門家たちが出席することで交渉もスムーズになる。
政治家や官僚には技術的な問題は扱えない。
京都議定書型の「上からの数値」ではなく、「下から(ボトム・アップ)の積み重ね」の方式は技術論や達成可能性の論議が中心となり、透明性や実現可能性も確保されやすい。
討議の中では、各国の企業、研究者などの専門家、そして市民が参加できるため、民間からの関与の度合いが強い。
密室の中の調整が主だった京都議定書の決定の姿よりも、民主的な決定方式ではないだろうか。
GATT方式の構想「下からの積み重ね」の合意が次々と結ばれたときに、それを管理・運営する体制が必要となる。
具体的にはどのような形をとればよいか。
欧米や日本の識者の間から、GATT(貿易と関税に対する一般協定)方式が提案されている(注三・GATTは貿易自由化のための協定の総称だ。
関税引き下げのための期限を設けた交渉(ラウンドと呼ばれる)を一九五○年代から行った。
関税とは放置すれば引き上がる傾向がある。
これを阻止して、自由貿易体制を発展させるために、ラウンドの問に主要国の関心を持つ品目の交渉を続けた。
ラウンドでの交渉は基本的に二国で行われたが、その決定の成果はGATTの取り決めに基づき、最恵国待遇として他国も享受できた。
「二国間主義」と「多国間主義」の組み合わせといわれる。
九五年にGATTは世界貿易機関(WTO)に発展的に解消した。
この方式を温室効果ガスの削減に応用できないか。
自由貿易と同様に国際的な共通利益としてガスの削減は受け止められている。
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